アノコとのアノコトを思い出しては  クスリ

大学一年生の春、友達の誘いで初めてライブハウスという世界に足を踏み入れた。get a splash!ツアーのファイナル。赤坂BLITZ

その頃はまだ、典型的なラルヲタだったな。REALで止まっちゃったけど。だから、ZIGZOを知ったきっかけは勿論、SAKURAが新しく始めたバンドだったから。

でも、その赤坂で、魅了されてしまったんだ。高野哲という才能に。

一年も経たずに、遠征までするようになってしまった。
全国のいろんなところに、仲間が出来た。
それから、彼らが終わりの鐘を鳴らすまで、追い続けた。私の10代が終わった頃のこと。

特別なんだよね、ZIGZOって。
私がこんなにライブハウスに通うようになる、きっかけになったバンドなんだ。


復活の赤坂BLITZは、あの頃の片鱗がたくさん散らばっていて、とても心が踊った。
でも、先が見えなかった。
新曲は披露されたけど、それまでの彼らの軌跡をなぞるような言葉たちで。
これから、どんな音を鳴らしていくんだろう?と、疑問にも感じた。

もちろん、10年の間にいろんな経験を重ねてきた彼らの音は、あの頃と全く同じではなかった。
私がずっと見てきたのは高野哲だけだけど、一番、変わったなぁ、と思った。見ていたからこそ、感じたのかもしれないけど。

彼はZIGZOとは違うスリーピースのバンド・nilのフロントマンとしてキャリアを積んできて。ギターでの表現が巧みになった。がむしゃら、ではなく、余裕たっぷりで不敵な、イイ年した悪ガキになった。
一人での弾き語りが増えたのも、大きいだろうな。年上ばかりに囲まれて、知らず知らずのうちに守られていたのが、周りに誰もいないところで歌うようになったんだから。
ジュンジュラみたいなタイプの違うバンドを始めたり、大御所に囲まれたインディーズ電力に加わったり。そりゃあ、でっかくなるわ。
書いててなんだか、高野大好きな人みたいになってきた(笑)
私がずっと思い続けてるのは、私は高野哲の才能に惚れてるんだよな、ってこと。


10年ぶりのツアーは、初日の仙台と、ファイナルに行ければいいかな、と思ってた。
そんな中、4月の終わりに下北沢SHELTERであった高野の弾き語りを観に行った。
MY WAY MY LOVEの村田さんの企画。海北さんも一緒で、この二人が共演だなんて!と凄く嬉しかった。
面白いイベントだった。普段とステージと客席が逆の位置。普段のフロアのところに小さなステージが設置されていて、そのすぐ近くから椅子が並べられている。普段のステージの上にも椅子が並んでて。
とても、歌う人との距離が近い。生々しい。

高野は、(nil)ってなってたくせに、ジュンジュラの曲ばっかりだった。ただその中で一曲、昨日歌詞が出来たから、と言って新曲を披露した。
大きなお別れがあって、それで出来たっていうのもなんだけど、然るべきタイミングだったのかな。そんなような事を言ってたと思う。
お別れっていうのは、馬場育三さんのこと。後で話した時は、育ちゃんって呼んでたな。

悲しくて、綺麗な曲だった。

終演後、普通に話が出来たので、訊いてみた。さっきの新曲は、どのバンドでやる予定とか決まってるんですか?って。
そしたら、予想外の答え。
「あぁ、あれはZIGZOだよ。RYOくんの曲。」

ビックリした。高野の曲じゃない、って気付かなかった。
歌詞が出来たから、この日にやっていい?って三人に訊いて、
やればー?くらいの答えだったから、やってくれたそう。


  まだまだこんなものではない
  まだまだ先が見えてこない
  時々なら見えかくれ
  もう少しだ!


先が、見えた気がした。

わくわくした。
新しい音をZIGZOが鳴らそうとしている。
今までの焼き増しじゃない。新たな音。
そんなの、絶対に観に行きたいじゃないか!!

そんなわけで急遽、名古屋と大阪を追加してしまったのでした。てへ。


やっぱり、いろんな意味で巧いんだよな。ライブが巧い。魅せ方が巧い。伊達に年喰ってないんだ。
私が大好きな曲たちを貼っておこう。宣伝(笑)

  • ひまわり


枯れない泣かないひまわり。代表曲。


さっき引用したのはこの曲の歌詞。春になれば離ればなれも怖くないさ。

  • flow


世界が傷ついて泣き出して雨が降る。


もう終わりの鐘が鳴る。最後のシングル、だった曲。


ツアーが終わったら、いろんなバンドと対バンとかしてくれたら面白いんだけどなー。
去年、私が一番嬉しかった対バン、nilランクヘッドみたいに。

いろんな期待を胸に、ついに10年ぶりのツアーが始まるよ。