"LIVE FOREVER"-the last waltz of Syrup16g-@日本武道館

この震えは寒さなのか、恐さなのか。始まるまで、膝がガクガクして仕方なかった。
アリーナA1ブロックって、番号1から始まるわけじゃないのね。行ってみてビックリ。一番端っこ。でも、最前列じゃないですか!
初の誕生日ライブ、初の武道館、初の最前列。何この準備されたかのようなシチュエーション。上から吊り下がったスピーカー?のせいで、マキさんと大樹ちゃんは手元しか見えなかったけどね。
どん!と大きな黒い台の上に楽器と機材を載せただけ。そんな印象のシンプルなステージ。シロップらしくていいじゃないか。


思い出して書き殴った読みにくい文章ですが、続けても良いでしょうか?


ここって、もしかして楽屋に一番近い席?「おおっ!」と、円陣組んで気合い入れしてる声が聞こえたよ。最後の儀式みたいな。その直後、客電が落ちてステージに現れる3人。
発表からずーっと、何故か涙が出なかったのに。最初の、きこえるかいのイントロを聴いた途端ボロボロ流れてきた。あぁ、きこえるよ五十嵐。痛い程に。


無効の日、生活。COPYで散々聴いてきた流れ。シロップの初めて聴いた曲が生活なんです。"涙流してりゃ悲しいか 心なんて一生不安さ" 落ち込んだ時は必ず聴いていた、ずっと支えてきてくれた曲。1曲終わる度に、あぁ、この曲をもうライブで聴くことはないんだな、なんて思ってしまって。分かってたはずなんだけどなぁ。神のカルマのサビのメロディーが大好きなんだ。I・N・Mは、ライブで聴いて良さを再認識した曲。これも、もう終わり?


ここ2年くらいのライブ定番曲が並んだセットリスト。その中、唐突に「これをやるか!」という曲が混じる。Anything for todayとかね。この曲の大樹ちゃんのコーラスを聴くと、これほど五十嵐の声に合うハモリはないよ!なのにどうして!とか思ってしまって。ダメだなぁ…。


イエロウがとてつもなくカッコ良かった。前の曲と雰囲気がガラッと変わった、っていうのもあるとは思うのですが。ヒリヒリとした、なんてよく使われがちな言葉だけど、そんな言葉が似合う空気。


負け犬のイントロを間違える五十嵐さん。
「負け犬だけに。」
この日初めて発した言葉がそれですか!ばかー!でもまさか、負け犬やるとは思わなかったよ。そして、希望。最後の日に、希望を歌うんだね。


弾き語りでセンチメンタルとか。反則だろ!泣くわ!さらに、明日を落としてもだなんて。ライブを通して、五十嵐さんの声がとてもよく出ていたと思うんです。とても響いていたんです。会場に、心に。伸びやかな高音。妖しく響く低音。だから、余計にね。


一番メンバーがキてる!と思ったのが正常。途中、ドラムスティックが砕け散ったように見えた。マキさんがずっと前屈みで掻きむしるようにベースを弾いている。全くもって、正常には見えないよ。怒濤の後半戦。天才とSonic Disorderは毎度のことながらカッコイイ。徐々に終わりが近づいているのは分かってる。でも、そのことを忘れそうになる瞬間があった。それくらい、心を奪われた。
「終わっちまうなぁ…くそっ!」
どこかで、そう呟いていた。きっと、みんな同じ気持ち。後半の曲の並びとか、改めて見ると、よくありそうな流れ。でも、1曲1曲噛み締めるように、灼きつけるように、刻み込んだ。胸にチリッとくるような瞬間とか、高揚とか、全て、忘れたくない。


アンコールの手拍子。やっぱり出て来て欲しくて、でも終わって欲しくなくて、複雑な気持ちのまま、手が腫れるんじゃないかと思うまでに叩いた。1万人の手拍子が、確かに一つになったと思った瞬間があったんだよ。
唐突に、五十嵐さんの声が飛び込んでくる、さくら。心臓に悪いよ。MCとかないのかよ。ここにきてさようならと歌うのか。ベタだけどさ、"これはこれで青春映画だったよ 俺達の" に泣けてしまう。悲しさも愛しさも全て引っ括めて受け止めてるんだ五十嵐は。
scene throughは清々しかった。でも、最後のラララで、1オクターブ上げて声を張り上げて歌う姿が痛々しくて。まだまだ終わりたくないのに!そんな叫びに聞こえたんだ。
イマジネーションなんて、こんな歌詞をこんなところに持って来られたら、これで終わっちゃうのかと思っちゃうじゃないか。終わっちゃうんだけどさ。でも、やっぱりこの曲も清々しい。ラストアルバムの曲はずるいね。達観しちゃってる感がある。もう、拒絶なんてできないじゃないか。


2回目のアンコール。先に出て来た大樹ちゃんが、がっちゃんが出てくるのを少し待って、手にタッチするのが見えた。目頭が熱くなった。


3回目のアンコール。がっちゃんが、大樹ちゃんにおぶさった。私はNHKホールのアレは見ていないんだけど、あんなだったのかな?なんだかほほえましくて、心が温まって、泣きながら笑った。


「プレイヤーから、次の日が見える曲をたくさん作ってきたので、これからもよかったら聴いてあげてください。」
最後のMC。五十嵐さんがどれだけ自分の音楽を愛しているのか。痛い程に伝わってきた。明日のことを歌った曲と称された翌日。これからも、ずっとずっと聴き続けようと思った。暫く聴けなくなるかもしれないと思っていたけど、そんな五十嵐の気持ちに反するようなことなんて出来ないよ。大事に、聴き続けようと思えた。
最後の曲のコードがかき鳴らされる。キラキラ輝いているように聴こえた。この曲も、未来を見据えた曲だね。曲の終盤で、視界が開けた。客電が点いた。一斉に照らされるお客さんの顔と、光の中で演奏し続けるSyrup16g。あぁ、終わってしまうんだなぁ…。



五十嵐さんは、自分の理想とするSyrup16gでいたかったから、解散を決めたんだと私は解釈しています。インタビューを読んで、あぁ、この人がSyrup16gを名乗るのは3/1で最後なんだな、と思ってとてつもなく寂しくなったりもして。ただ、この日のステージを見て思ったのは、この3人は、最後までSyrup16gであり続けたんだなぁ、ということ。ストイックなまでにね。
最後のあの空気に触れることが出来て、幸せでした。メンバーが去ってがらんとしたステージにも、色んなものが残っているように思えて仕方なくて、目に焼き付けるように見つめて来た。
様々な思いが溢れ出るけど、上手い言葉が見つからない。ただ、ありがとうと伝えたい。当日は、どうしても叫べなかったから。
ありがとう。
ありがとうございます。
何度言っても言い足りない。


そして、待ってるよ。
また五十嵐さんがギターを手にして、ステージ立つ日を。



01. きこえるかい
02. 無効の日
03. 生活
04. 神のカルマ
05. I・N・M
06. Anything for today
07. イエロウ
08. 月になって
09. 負け犬
10. 希望
11. センチメンタル
12. 明日を落としても
13. もったいない
14. 生きたいよ
15. 途中の行方
16. ex.人間
17. 正常
18. パープルムカデ
19. 天才
20. ソドシラソ
21. Sonic Disorder
22. coup d'Etat〜空をなくす
23. リアル


En1-1. さくら
En1-2. ニセモノ
En1-3. 新曲
En1-4. scene through
En1-5. イマジネーション

En2-1. She was beautiful
En2-2. 落堕
En2-3. 真空


En3-1. 翌日
En3-2. Reborn